2008/10/16 トライアルアンドエラー

九時半のバスでロサリオへ。バスは出発時刻ギリギリに来て(普通15分前には乗り始める)、現地人からもブーイング。車窓の景色はひたすら草原、牧場。地平線って何キロ先まで見えんのかな。
ジャックスマネキンのホリデイフロムリアルの一番と二番のピアノが全然違うことに今さら気づいて、妙に感動する。なんで変えたのかな。
私は各楽器ごとに集中して曲を聴くのも好きだし、嵐のパート分担に集中して聴くのも好きだ。歌のうまさが均等になるようにうまく振り分けられてるんだよ。

四時間でロサリオに着く。バスターミナルは近代的。とりあえずロサリオの地図を買って、セントロの位置、ツーリストインフォメーションの位置、スタジアムの位置、ネットで調べてメモしてきたホステルの位置を確認。たくましいなぁ自分。

ホステルは便利なとこにあったのでとりあえず今夜はここでいいやとタクシーで行ってみる。が、着いてみるとフロントが二階にあって死にたくなる。重い荷物があって、私は腰に爆弾を抱えていて、南米諸国ではここに荷物を置きっぱなしにはできない。結局ブザーで呼び出して助けを求めた。結局たくましくない。

ホステルは汚くはないけどすごく古くて、シングルルームが空いていなかった。仕方なくドミトリーへ。二段ベッドが三つあるが誰もいない。誰もいなくてもドミトリーはめんどくさいな。
ホステルのお姉ちゃんにロサリオセントラルの練習情報を聞こうとしたらロサリオ市内の中心(セントラル)部分について説明された。うーん。また聞き直したら誰か知人に電話してくれた。どうやら練習はスタジアムではなく、BAIGORRIAというロサリオの北の方、地図外の町でやってるらしい。ただ結局、場所まではわからず。ツーリストインフォメーションで聞けとのこと。
ツーリストインフォメーションはすぐ近くにあった、新しくてなかなかおしゃれなガラス張りの建物。その前にちょっとコーラとハンバーガーで栄養補給。腹が減ってはなんとやらですよ。



ツーリストインフォメーション近くのメリーゴーランド。
車、象、馬、牛…メンツがカオスだ。



インフォメーションの兄ちゃんは英語もそれなりに話すし、ルックスもイケメンだ。チェゲバラもロサリオ出身だというし、ロサリオはイケメン生産地だな。
まずホテルを紹介してもらう。意外と週末はどこもいっぱいで、何軒か電話してやっと見つかった。ちょっと南米予算オーバーだけど仕方ない。
それから恥ずかしながらも練習場情報について聞く。兄ちゃんは自分もロサリオファンだ!と喜んでたけど、やっぱり練習場は遠いということだけ知っていて、住所までは確定できず。代わりにロサリオセントラルのオフィスの場所を教えてくれた。

たらい回しだな…と思いつつオフィスに向かう。しかしストーカー活動をこんなに堂々としていいのか。私何やってんだ。でもこういう知らない街で試行錯誤の日々って嫌いじゃないなぁ。むしろ好きだなぁ。楽しいよな。ほんとはキリさんは試合見れればよい気がする。もし目の前に立ったところで何を言ったらいいのかわからなすぎる。でもせっかくロサリオにいるし、とりあえずできることはなんでもやりたいのだ。ここまでやるか、ってくらいやりたい。
そういう妙なやる気に満ちて中心街を歩いてたら、腕に鳥のフンが落ちてきたよ!ギャァー!アバクロのジャケットが!
一気にテンションダウン。誰だってこんな目にあえばテンション下がるだろ…?鳥ってなんて空気が読めない生き物なんだ。
仕方なく近くのマックに入ってトイレで洗う。しかしこれがすぐきれいに落ちたうえに、ジャケットは布製なのに妙に水をはじくのだ。アバクロやるなぁ。ウスワイアの寒さにも鳥のフンにも負けないアバクロの実力を思い知った。

ロサリオセントラルのカラーは黄色と濃い青。これがアルゼンチン郵便とまったく同じ色なのでオフィスと間違えて手前の郵便局に入ったりする。ていうか言われた場所にオフィスが見つからない。「違う、心の目で見るんだ…!」とかいろいろやって、やっと、とっても目立たないオフィス入口を発見。すげーな心の目。


いちばん左の黄色いひさしだけ、うっすら青が入ってる。そこがオフィスです。
わっかんねえよ。トラップ多すぎだよ。


入口のガードマンに「チームノジョウホウシリタイデス」と言うと、秘書室に行けと言われた。秘書。いきなりレベル高い。しかし秘書室で聞くと「サッカー課は別だからあっちの部屋」と建物の反対側に行くことに。そういやこっちのクラブって、「アスレチッククラブ」だから、サッカーのみならずバスケとかホッケーも兼ねてたりするよね。
オフィスには銀行みたいな窓口があって何人か並んでる。あとできいたらソシオ(会員)用の窓口らしい。トロフィーや写真もいろいろ飾ってあって、簡単なカフェもあった。


こんな感じの待合室。職員のユニフォームもチームカラーでかわゆい。
ちなみにいちばん奥のドアが秘書室だ。



ゲバラもロサリオ出身。


オフィス内カフェ。

サッカー課とやらに入ると、大きな偉そうなデスクがあって、そこには誰もおらず、向かいの椅子に若い兄ちゃんが座ってる。よくわからないけど私も後ろの椅子に座って待つ。
しばらくすると、若い兄ちゃんは他のおっさんと出ていき、おじいさんに限りなく近いおじさんがデスクに座ったので、話しはじめる。ちなみにすべてスペイン語だ。
最初、私がこんなとこまでふてぶてしく来たから新聞記者だと思われた。私だってどうして自分がこんな奥まで入り込んでるのか不思議でしょうがないよ…。なんだか新聞記者だと追い払われそうな雰囲気だったので慌てて否定する。

それからおじさんに質問開始。すんごい大変だったけど、まとめると、以下。(あんまり実のある情報ではないけど、おじさんは「練習見るな、行くな」という姿勢じゃなくて、あくまで「公開してないから無理じゃないの」という姿勢でした。そして口調は怒ってはないけど断定的で怖かったです…)

・ロサリオセントラルは基本的にファンのための練習公開はしていない。
・明日金曜の練習は見れない。
・土曜は朝9時からスタジアムで練習。ただし公開するかはコーチ次第。大事な試合前は非公開が多い。雨が降ったら室内なので自然と非公開。
・日曜の試合は七時半から。チケットは当日朝からスタジアムでのみ発売。
・郊外の練習場の名前は「PALOS VERDES」。エアポートへの道にある。ただし次に使うのは来週火曜。

うぅ、大変だった…。聞きたいことはどうにか言えるけど、聞き取りはほんとに難しい。「雨が降ったら室内」とかですら理解するのに何度も聞いてしまった。
一通り聞き終わってからおじさんに「君はスペイン語ちょっとしかわからないんだな!」と言われたので、それは事実ではあるしいきなり押し掛けて迷惑もかけてるんだけど、頑張って聞き取ろうとしてた分ちょっとカチンときて、「じゃああなたは英語できますか、他の言語できますか、私はサッカーのためにスペイン語勉強したんです、そしてロサリオセントラルを見にロサリオに来たんです」と反抗的口調で言ってしまった。やっべ。そしたらおじさんにどこから来たのかと聞かれたので、日本、と答えた。しばらく黙ってしんみりムードになってしまった。
それからおじさんに何か言われたけどよくわからず、とりあえずここで待てと言われたのだけわかったので座ってたら、途中から後ろに立っていたさっきの若い兄ちゃん(助けろよと思った)が「君に試合のチケットくれるって!クラブからのプレゼントだよ!」と説明してくれた。

なんですと?

さっきの流れでおじさんがどうしてそう決めたのか、反抗的態度に心を動かされたのか、日本って遠いなと思ったのか、よくわからないけど、くれるらしい。プレゼントって。まさかだろ。何かすごいぞ。てか、おじさんひょっとして偉い人なんじゃないか。
おじさんが戻るまで兄ちゃんといろいろ話す。兄ちゃんはなんと今日がこのオフィスでの勤務開始日らしい。そんな記念すべき日に私のようなわけわからん外人が乱入して申し訳ない。

しばらくしたらおじさんが戻ってきて、明日にならないとチケットが用意できないからまた明日来いという。おじさんはずっと口調が厳しいのでよくわからないけど優しいのは確かだ。すげー。なんかすげー。

というわけで浮かれながらセントロを練り歩いた。
しかしどんなチケットくれるんだろ。ソシオの中のソシオ、みたいな応援の激しい乱闘真っ只中の席だったらどうしよう。あり得るよな…。

それからスポーツショップでロサリオのユニフォームを買う。大人用が黄色のみで150ペソ、子供用は黄青のストライプで100ペソ。子供用がいいなーと思って店員の姉ちゃんに着てみたいというと、無理じゃないのー、と言われるが試着する。そしたらちょうどよかったので「日本人の小ささなめんなよ!」と思った。店員に見せたら驚いてた。しかし、私、自分で言うのもなんだけど、この際どい黄色と青のストライプ…似合うな!キリさんがロサリオ移籍したときは「ずいぶんスゴいユニフォームのチームに行ってしまったな」と思ったものだけど、私には日本代表ユニとかアルゼンチン代表ユニより全然似合う…。正直私はキリさんよりも似合ってる。嬉しいけどなんか悲しい気もするな。

いろいろ疲れたので夜はサブウェイで済ませる。誰もいないドミトリーで早く寝る。




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