2008/10/18 ハートエイクハートブレイク

※どうしようもない展開です

起きたら心臓というか肺が痛い。なんだこれ!と怖くなるがしばらくしたら治る。前にも心臓痛くて病院行ったら神経痛じゃないかとか言われたけどまたそれか。え、心労…?

しかしこのホテルはほんとにひどいな。従業員はダラダラだし、騒音(従業員による)はひどいし、共用パソコンは従業員の息子(10才くらい)がずっと遊んでて使えない。追い払ってもらっても、使い始めて五分くらいで息子が戻ってきて「いつ終わるの?」とか聞いてくる。あー。一見きれいで近代的で大人っぽい雰囲気が漂ってるだけに余計気になるなー。
朝のオレンジジュースだけが救いだ。

今日は9時からスタジアム練習の日だ。ひとまずスタジアムに行けば私のように選手のグッドスメルに引き寄せられたファンがうようよしてるだろう、それで見学可能か様子を見よう、と思ったのだけど、いざ着いたらスタジアム周辺には誰もいない。選手のグッドスメルに引き寄せられたアホは私だけだ。
まず周囲をうろついてみるけど開いてる入口はやっぱり駐車場だけ。遠めのベンチから駐車場の入口を見張る。まじストーカーだなコイツ。昨日と同じ見張りのおじさんいるし、関係者ぽい人しか入ってないし、ダメそうだなぁ。
入口でダメだと言われたらもう終わりなので、怖くてしばらく近寄れない。すぐそばにあるビーチで「あー…休日の朝はさわやかだぜ…ハハハ…」と現実逃避にいそしむ。

逃げていても仕方ない!ので昨日のおじさんにまた、スタジアム入れませんか!と聞く。予想通り、無理。ただ昨日は「閉まってるから無理」だったのが「今選手が練習してるから無理」と言われた。私だって邪魔したくはないしダメなものはダメだとわかるけど、とりあえず「ポルファボール!(おねがい!)」と言ってみる。おじさんは「わかるよ」、と言う。そりゃこんなとこで働いてたらファン心理はわかりすぎるくらいわかるだろう。

かくなるうえは、おじさん暇そうだし、

奥義・身の上話ターイム!

というわけで、日本から来てさー、ワールドカップでアルゼンチン代表も見たしさー、キリが好きで好きで好きでさー、こんなロサリオまで来たんだよー、ちなみに日本じゃ試合テレビで見れないんだぜー、云々。という話をしみじみとしたらおじさんはうんうんとうなずきつつ聞き入り、
「4時か5時には選手が帰るからその時また来てみれば、出るとき会えるかも」

と教えてくれた。
そう!そういうのが聞きたかった!

おじさんに御礼を言いつつ、とりあえず去る。さすがにそこで5・6時間ねばるのは気持ちわるいよなぁ。

ホテル周辺に戻り、川沿いの公園を散歩したり、昼食を食べてるときにカフェに野良犬が入ってきて誰も追い出さないし何か欲しがってたからフライドポテトを投げてみたら匂いをかいだだけで食べずに去って行ったのに怒りを覚えたり、近代美術館とやらに行ってみたりする。近代美術館は川辺りにあり、古い工場(タンク?)を改造した変な建物で、14時〜20時というやる気があるのかないのかよくわからない開館時間で、いちばん上の展望台はそれなりにおもしろいけど、展示物はどうしようもなかった。誰もいなくて変な建物と変な展示物の間を一人で歩かなきゃならないのがいちばんの冒険でそのために140円払ったようなものだ。



美術館展望台からの眺め。



美術館展望台からの眺めその2。ロサリオ北駅が見下ろせます。



川沿いの住宅地。なかなかおしゃれな街並でしょう。


……しかしほんとにキリさんに会えるというのか?会ってどうする?絶対に何も言えやしないだろうし言うこともない。死んでしまいそうで怖いな。ドストエフスキー「悪霊」のリーザは「あたし死ぬのが怖いわ!」と言ってたが彼女は病気だったわけでも自殺願望があったわけでもなく単に「あること」のために生きていて、その「あること」が一時間で終わった次の日にもう自分が死ぬと思うわけだ、彼女の用は終わったから。なんだって私はリーザのことなんか思い出してしまうんだろうな!いやしかしほんとに怖い!

悶々としつつ、3時になったので再びスタジアムへ向かう。3時半に駐車場に着くが、どう見てもさっき並んでた素敵な車が大半消えている。これはまさか。
恐る恐るおじさんに聞くと、30分前くらいに選手は帰っちゃった、とのこと。



まじか。



「まぁ、明日、試合で見れるからいいじゃないか!」と慌てていうおじさんに、「それとこれとは違うのよ〜」とへなへなになって言うと、おじさんは申し訳なく思ったらしく、どっかに電話して、特別にスタジアム内に入れて写真撮らせてくれた。いやそんなもんじゃ癒せないけど普段は公開してないわけだから、これは貴重だ。どうもありがとう…なんといか、大変、迷惑をかけているな…。



見せてもらったスタジアム内部。


サポーター席とグラウンドの間に溝が掘ってあるのがいいですよね。


見終わったあと、仕方ないのでおじさんに「この手紙をキリに渡せますか?」と昨夜書いたラブレターを差し出すと、おじさんは喜んで引き受けてくれたので、お願いする。
オフィスに渡すのがいちばんかもしれないけど、「またお前か!今度はなんだ!」て言われたら嫌だしなと思って。それにここまで来たんだよ!ってのを主張したかった。

まぁ仕方ない、元気をだそう…なんだか会うのも怖かったし、幾分ほっとした部分もあるしな…そうだ、元気を出すために趣味の妄想でもしよう…ロサリオ学園の生徒会長キリさん(キャプテンですもの★)に一目惚れして短期留学までしてみたけどモテモテの生徒会長に近づけず結局門番にラブレターを渡してくれるようお願いした、ってことにしよう…とんでもなくシャイな展開だなそれ。なんだ門番って。むしろ萌えるじゃないか。
あれ、っていうか、私、ちょっと、頭大丈夫か…?

そんなことを考えながらセントロに行ってぶらぶらしてると、若手アーティストの店を発見して、ものすごいかわいいバッグがひとつ1500円くらいで売っててどれにしようか散々迷った挙句、ふたつ買う。ははははは。女はバッグを買うとアドレナリンが出るらしいよ。

そしてこんなときは飲むしかないので夜はバーでキルメスのビールを飲む。日本のビールみたいだ。飲みやすい。

《以下、飲酒中の心内文》
あーもう私は運が悪いのか何なのか…会うのは怖かったけど会えないのも何か腑に落ちない…でもそうだよなぁ、キリさんはパロスベルデの森に住む妖精なんだもんなぁ、そんな簡単に会えるわけないよなぁ、心が清らかな人じゃないと会えないんじゃないかなぁ、もう明日試合見たらブエノスアイレス帰ろうと思ってたけどどうしようかなぁ、でもブエノスアイレス帰っても土産買ってウルグアイ行くくらいだし、もうちょいロサリオいても余裕だよな、気候いいし。そういえば私はまだできること全部はやってないよな、まだできることがあとひとつ残ってる、あきらめるのって早いんじゃないの、怖がっていてもどうしようもないんじゃないの、よし、パロスベルデの森まで妖精を探しにいくぞ!
《以上》

そんなこんなで缶二本ぶん飲んだだけで無敵になったマリオみたいな状態になり、アルゼンチン人を「ワハハハハ!」と蹴散らしながら、無事にバスでホテルまで着く。旅先で飲むとほんとに弱いな。

顔だけ洗って、もういくらでも寝てやる…!と、アラームかけずに寝る。




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