第2頁:2003/01/15〜

好きも嫌いも、好き勝手書いてます。節操なく漫画も入りはじめました。
そんなにネタバレはしてないと思います。
何か「これを読まないと人生損してる!」というのがあったら
メールフォームかうぇぶ拍手で教えてくださると有り難いです。

『指輪物語 旅の仲間』J・R・R・トールキン

長いから各部で分けます。映画はもう何回見てるんだお前バカかってほどなんですが原作ちゃんと読むのは初めて。小・中学生のころにトライしたけどあまりの難しさに馬鹿だった私は断念した記憶が。今読んでも、設定や心理描写の細かさがおとなのファンタジーだなぁと思います。
とりあえず挿し絵が怖い(まずそれかよ)。古本だからかと思ってたんですけど今のもこの挿し絵なんですね。うわぁ。美丈夫のボロミアがきこりのオヤジだ。これじゃファンタジーというよりホラーだ。
あと、映画派なんでどうしても映画とくらべてしまうんですが、読みすすめるほどに、映画の脚本、よくこんな長くて複雑な話をうまくまとめたなぁ!と思います。削ったりつなげたりわかりやすくしたり、気の遠くなるような作業だわ。原作ファンだったら手ェ入れんのもつらいだろうしな…。

■ひとりひとりについてくどくど書いてみます。原作は特にレゴとボロがたまらない。なんなのもうあの子たち…!
フロド/主人公なのにキャラがよくつかめないー。映画フロドは陰鬱で思慮深い感じだったけど、意外と原作フロドは軽率なこといったり悪口いったりもするのな。とにかくビルボ命というのだけはひしひしとわかるが…
サム/「おら、○○ですだ!」の田舎もんしゃべり〜。やっぱりフロド命…これでもかというほどフロドフロド…裂け谷で傷が癒えたフロドの手を取るとこは妙にエロかった…なんだろうこいつら。
メリー/かっこいい!!!映画じゃいたずらっこだったけど、原作じゃ賢くて勇敢で責任ある若者だわ〜。しっかりブランデーバックの若旦那です。小馬に乗ってるとこにかなり萌えます。金持ちだし、結婚するならメリーって感じです。
ピピン/幼くて愚かな役を全部うけたまわっている…ガンダルフに怒られっぱなし。ひー、萌え。
ガンダルフ/映画とさほどかわらんです。しかしいろいろと顔出して苦労してんのね…。
アラゴルン/ひたすら服装が汚いことを書かれていて可哀想だった…ホビットになかなか信用してもらえんし。映画より万能な感じがした。というか映画よりミナスティリスに行きたがってて(憧れててというか)萌えました。自分の代でゴンドールの王座に帰るという決意をとうにしていたような感じがします。
レゴラス/かっかわいい!!出番少ないけど、言うこと為すことひとつのこらずすべてかわいい…!エルフってみんな電波っぽいけどレゴラスもかなり電波。苦しい旅の間もひとり「うふふ!森大好き☆」て感じで。しかも変わった服装してるんだってさ…ピーターパンみたいのかな…闇の森のエルフってロリエンや裂け谷とくらべてちょっと田舎っぽい感じなのかも。どんどんギムリと仲良くなってますますかわいい。
ボロミア/なに、この角笛っ子…!110日も迷子になってんじゃねぇよ!かわいすぎる…!映画とまったく別人なんですけど、これはこれで最高です。描写にいちいち萌えた。黒髪の、見ていて気持ちのいい、りっぱでうつくしい顔立ちなんだって。うわーん。セリフもいちいち「ゴンドール命!」「人間だって偉いもん!」「とにかくみんなゴンドール来てみろよ!いいから!」って感じで強気で誇り高くてまっすぐで、それゆえに過信や愚かさみたいのが見え隠れしてて、たまらない…なんなのこの子、ありえない。どうしよう。それにしてもこんな体育会系じゃ裂け谷2ヶ月くらい滞在しても友達できなくて孤独に過ごしてたんじゃないかと心配だ。エルフと馴染めなそうだもんな…!歌とかそういう優雅な趣味は、武人だからわからないと思うよ!でもけっこう王様と話したりしてたのかな…(妄想)いつの間にか王様伝いで旅の仲間に加わることになってるしさ…。 あと雪山じゃヤバいくらいに大活躍だったけど、ロリエンとかはあまりにボロがでてこないので「ほんとについてきてんのかな!」と心配だった。とにかく心配だった。
ギムリ/ロリエンの目隠し騒動、いいですねー!あと、意外と若いんじゃ…?
エルロンド/もっと若いんじゃ…?



『指輪物語 二つの塔』J・R・R・トールキン

絶対に旦那のそばを離れない。絶対に、絶対に。

ぎゃー!サム、カッコイイ…!!ファラミア様に早く会いたかったのでゴラム云々のとこはかなり読み飛ばしてしまったんですが、サムがだんだん読み飛ばせないくらいに…もうあんたってほんとに…!!サムとフロドの仲って、主人と庭師でここまで主従関係出るもんなんですかね。不思議。フロドは主人といってもそんなにすごい偉いわけでもないんだし…。いやもうそれはともかくサムって…一人称「おら」のくせによぉ…

あ、最後のサムに魂もってかれましたが、とにかく気になったのはファラミア様です!賢い、善人、ブラコンの3拍子そろった弟君です。兄上の船と夢想の中で再会するところはなんかもうロマンチックすぎでした。泣。あとファラミアがボロミアの幼少時代の思い出話をするとことかあったりして、執政家好きとしては「ギャー!」と身悶えしまくりです。どこまでお兄ちゃん好きなんだよ、お前…。あーこの長い原作読んでる甲斐があった(至福)。

あとファラミアがフロドにしてるゴンドール式抱擁って、これ、映画で王様が最後ボロにやってたやつじゃないすか…!?なんて芸が細かいんだ!ていうかいろいろ思い返して泣きました!
ちなみにボロの最期は映画のほうが感動的だったかなー。どっちもいいんだけれど、やっぱり映画版の「My King…」が強烈だった。そう見るとやっぱり映画でのボロの描かれ方はかなりひいき目で、それにも増してショーンビーンの演技もすばらしかったのかと。

メリピピ追跡隊は、アラゴルンがいろいろ迷ってていいです。「私の選択はすべて裏目に出る!」って嘆いてるとこ人間らしいなぁ…。ガンダルフがいなくなったのが原因で迷いが生じて、旅の仲間の偶発的な分裂という結果に繋がった、ていうのが映画よりわかりやすかった。そしてレゴとギムはどんどん仲良くなってってすごい。誰もふたりを止められない。それからエオウィンと王様の出会い、かなりファンタジーだ。デスティニー。

メリピピあかるいなぁ…。てか、「旅の仲間」じゃかっこよかったメリーがどんどん幼稚化しとる…。 エントの水飲んでみたいです。



『指輪物語 王の帰還』J・R・R・トールキン

サムとフロドがもうなんなのこいつら…モルドールへの道は想像以上に長くつらかったです。サムも指輪所持者としてカウントされていることに驚き。

奇しくも2人とも各国の統治者に仕えることになったメリピピは成長が見られてよい。感動ポイント。セオデン王とメリーがここまで親しくしていたとは意外。急にセオデンに対して父親のように親愛の情を持ってしまうとこが好きです。
そしてピピンの御奉公はたまらないです。ボロミアの死を伝えるとこも奉公宣言するとこも萌え死ぬかと。それと交えて執政家の父と息子2人の人間模様はかなりおもしろい。デネソールが自分の能力を継いだファラミアに向ける近親憎悪、そしてその後の「まだなにか言うかもしれん…」という、うってかわって悲しいくらいの愛情表現。愛憎と悲哀の人間劇にゾクゾクします。
ところでファラミアがデネソールの椅子にもたれ掛かるところが妙にエロいと思います。この話はファンタジーなのにときどき妙に色気がある。主従関係が多いからかなぁ。

エオウィンがかなりかわいい。闘うとこもいいんですけど、療病院の場面、特に大好きです。ファラミアとのボーイミーツガール(という年齢でもないか)なとこは野次馬的にすごくおもしろかった。いちばんおもしろかった。ファラミアさまは最初からイケイケで、でもエオウィンはまだ無意識で「わがままに見られないだろうか」とか恥ずかしがったりしてるとことか、かなり萌え。それにしてもファラミア強引だな〜。

レゴとギムは最後まで熱々だ。

エピローグがすんごく長くてびっくりしました。おもしろかったけど。
どうでもいいんですけど、このあとゴンドールでホビットを小姓に持つことが流行したと思います。



『白痴』ドストエフスキー (上下2巻)

「ねぇ、誓うなんておよしなさい、あたしは信じないから!きっと、ばかな目をみるにちがいないわ!……ねぇ、いっそきれいさっぱり別れることにしましょうよ。でないと、あたしも空想家だから、どんなことをしないともかぎらないわ!あたしだってあなたみたいなひとを夢見なかったわけじゃないのよ。あなたの言うとおりよ。 あたしがまだ田舎のあの人の家に養われて五年間もまったくのひとりぼっちで暮らしていたころ、あたしはよくあなたみたいなひとを夢見てたんだわ。よくよく考えて考えぬいて夢にえがいてみると、正直で、人が好くて、親切で、そしてやっぱりすこし間の抜けた人を想像したの。そんなひとがいきなりやってきて『ナスターシャ・フィリポヴナ、あなたに罪はありませんよ、私はあなたを尊敬しています』と言うのよ。ええ、よくそんな空想に苦しめられて、気が変になりそうになることもあったわ……」

■やばかった…もうやばかった…有り得ないくらいやばかった…ラストとか…
■簡単にいうと恋愛泥沼群像劇、という感じなのですが、相変わらず異常なくらいハイテンションな作者がこれでもかというほどひっきりなしに出してくる必殺技(ひどい修羅場、緊迫感、難解な思想)にやられて、特に下巻では2ページ読むごとにいったん本を閉じてため息をつくというような具合でした。すっかり弱ってヨロヨロしながら読んでました。無垢な存在を中心として、一体誰がおかしいのか、誰も彼もが狂ってるのか、本当に人間らしいとはどういうことなのか、すべては幻想にすぎないのか、という感じで、そこにドスト奥義の「愛とゆるし」をキメて読者を瞬殺。でもストーリー的にも他よりおもしろかったかもー。すんごいロマンチックです。
■あまりに明かされない情報が多すぎて、途中でときどき作者に放置プレイされた気がしました。時間の飛びかたもすごいし…まぁ意図した上でなんでしょうけど…
■不純に見ると、性格も容姿もさまざまなタイプの20代後半男性が出てくるこの話、好みは『ムイシュキン公爵派、ロゴージン派、ガヴリ−ラ派、エヴーゲニイパヴローヴィチ派』の4つに分かれるんだろうか。 わたしはなんとなくガヴリーラが好きです。大体ガヴリーラ・アルダリオノヴィチなんて名前からしてかっこいい。でも、なんていうか、すごく不憫だ。
■パルフョンってどう発音するの
■とりあえず新潮文庫上巻217-219の修羅場にメロメロ。20回くらい読み返したぜぃ。特に「ああ、あなたはきっと自分のしたことをとても恥ずかしく思うようになりますよ!」このセリフは日常で使ったり…ほら…代表キャバ事件とかに…
■ラストの(ネタバレ反転)ロゴージンと公爵がナスターシャの遺体の横で過ごす時間、殺したあとだというのにおそろしく静かで無邪気な時間が、もうたまらなかったです。ラストはもっと怒濤のようなヤマ場が来るのかと思っていたので逆にこの静けさが、まさに悲劇。ほんとうにこれはやばい…うぅ…泣かせてくれ…。
■夏目の「それから」のかっこいい決めぜりふにすごく似たセリフが出てきてたんだけど…どうなんだ、夏目。というか絶対夏目はドストさんに影響うけてると思うなぁ。
■読んでて途中に難関がいくつも待ち構えてて、レーベジェフとかイポリートとか将軍とかナポレオンとかもう本を投げたくなるほど鬱陶しいんですけど、最後まで読むと絶対いいことがあるので挫けずに頑張ってください…!
■ちなみに新潮文庫下巻の裏表紙のあらすじは最後まで容赦なくネタバレしてるので要注意…!!(被害者談)
■なんかもう最近ドスト作品が好きでしょうがないんですけど、とりあえず、感動するとかためになるとか言うよりも、読んでてひたすら衝撃的で胸をつく痛みがするのがよいです。そんなのが好きなんてマゾか…。今んとこ読んだドスト作品では、
 罪罰→鈍器で殴られる
 カラ兄弟→めった斬り
 悪霊→ボコボコに殴る蹴る
 白痴→胸を刺される
 地下室→刺されて凍死
読んでてこういう感じの痛みがしました。こういう思いをしてみたいけど身体的な傷はやだなぁと思うアナタはぜひ読んでみてください。(嫌な勧め方だ)



『二百十日』夏目漱石

「君、あの窓の外に咲いている黄色い花は何だろう」
「かぼちゃさ」
「馬鹿あ云ってる。かぼちゃは地の上を這ってるものだ。あれは竹へからまって、風呂場の屋根へあがっているぜ」
「屋根へ上がっちゃ、かぼちゃになれないかな」
「だっておかしいじゃないか、今頃花が咲くのは」
「構うものかね、おかしいたって、屋根にかぼちゃの花が咲くさ」
「そりゃ唄かい」
「そうさな、前半は唄のつもりでもなかったんだが、後半に至って、つい唄になってしまったようだ」
「屋根にかぼちゃが生るようだから、豆腐屋が馬車なんかへ乗るんだ。不都合千万だよ」


「野分」と一緒に収録されてます。阿蘇へ旅行にいった圭さんと碌さんが、宿でまったり過ごしたり、山に登って疲れたり。ほとんどが会話文で、圭さんと碌さんの掛け合いがおもしろいです。高尚な笑いとかでなく普通に笑えます。漱石先生、豆腐屋ネタをしつこく引きずりまくり。碌さんがちょっと卑屈でかわゆい。
この話、漫画化したらおもしろそうだなーと思いました。誰か描かないかなー。すごいゆるい電波系の漫画になりそうだけど。漫画化したらいいなぁというのはよく考えます。個人的趣味ですが、夏目の「こころ」で、先生が振り返ってはじめてふすまにKの血潮がほとばしっているところを見つけるシーンをつげ義春が描いたらすごいだろうなとか思ったり。あー…想像しただけでハァハァします。
それにしてもこの頃の漱石先生は不公平な世の中と金持ちに恨みでもあるんですかね。



『ロジオン・ロマーヌイチ・ラスコーリニコフ』大島弓子

ドストエフスキーの「罪と罰」を、感性の塊・大島弓子が漫画化。ドストエフスキー+大島弓子なんて、私にとっては寺山修司と萩尾望都が一緒に投稿漫画審査をしていたのを見たとき以来の夢のコラボレーションです。次は高村薫+トニー・レオンとかに期待・・・きゃー!(興奮)

しかし、あくまで少女漫画なんで美形だらけ。ラスコーリニコフは美青年の設定だからもちろんいい。ポルフィーリィがニヒル系刑事なのはまだ理解できる、でも、スヴィドリガイロフが妖精みたいに美形・・・ひえー。何故だ。確かに電波だけどよ。その割にラズミーヒンが微妙だ。ラスコーリニコフの引き立て役っぽい。わたしラズミーヒン好きなのに!!
原作に忠実ってわけではないので、内容はけっこう省略してあったり、オリジナルのエピソードを追加してわかりやすくしてあったり。途中はドタバタしてて最後のほうはかなり急いでる感もあるけど「大地に接吻なさい」のシーンの見せかたとか、さすがだなぁ。雪降ってるよ。あと、大島さんオリジナルのセリフがかなりいいこと言ってたりする。また違う感動です。何はともあれ、この人の絵で見れてよかった。感情論みたいのがわりと表に出てるし。
あ、これは白泉社文庫「なずなよなずな」に収録されてるんですが、一緒に入ってる話はどれも相当初期っぽいからけっこう微妙です。

「罪と罰」は手塚治虫さんも漫画化してるけど、読んでません。どうなんだろうー。

「あさきゆめみし」じゃないけど、大島弓子さんライフワークくらいの覚悟で「カラマーゾフの兄弟」漫画化してくれないかな〜(勝手に!)。漫画で読みたい、というより、あの話の大島的解釈(できれば77年くらいの感性で…)が読みたい。脳より心臓で理解したい。肌で感じたい。凍った窓ガラスに、焼けるように熱く額を押しつけるミーチャの悲壮な叙情性が描けるのは大島さんしかいないと思ってます。勝手に。



『マリア様がみてる ヴァレンティーヌの贈り物(前編)』今野緒雪

うわーすんごいおもしろい(白目むきながら)
バレンタインの話でございます。相変わらず由乃ちゃんはカワ(略)
話もいいですけど、やはりここまでくるとみんなキャラが立ってて、いきいき動いてます。紅薔薇のふたりもいつまでもぎこちなくて微妙だと思ってたけど、切磋琢磨していい感じになってきました。そうなのか、こういう関係ですすんでいくのかー、と。納得。すれ違いやケンカは激しく萌えます。もっとすれ違ってほしいです。
白薔薇様は今までも出番多かったけど、今回の「よき理解者であり援助者」的な立場がいちばん好きだなぁ!あとは黄薔薇のつぼみ様のお風呂シーンもあるしなぁ!(どうにもこうにも黄薔薇の従姉妹同士が好きです)
後半が楽しみだ(前半後半でも話自体は独立してるんです)。
それにしても漫画や小説の生徒会と新聞部って笑えるくらい権力あるよな…



『マリア様がみてる いばらの森』今野緒雪

最近ほんとすごい人気ですね〜。
遅々としてますが一応読み進めております…てか私毎回感想書くつもりなのかな…。で、今回は白薔薇様に関するエトセトラです。相変わらず由乃ちゃんはカワイイなー。話は相変わらずアレですが(てか、いいのかな出版業界まで持ち出してきて…)この話は女子がキャイキャイしてればそれでいいような気もする。うん。祐巳ちゃんと弟は双子なんでしょうか。
一緒に入ってた回想話はちょっとな…うん。あんまり。三鷹駅で駆け落ちしてもロマンチックじゃないよな。あ、私は勝手にM駅というのは三鷹駅がモデルだと思ってるんですが、どうなんだろ。駅ビルがあって3、4番線があるらしいから武蔵境と武蔵小金井じゃないだろうし…。でもそしたら祥子さまが行った本屋はロンロンなのか…えぇ〜(萎



『野分』 夏目漱石

「あなたは人物の専門家なの」
「僕? 僕は――そうさ、――あなただけの専門家になろうと思うのです」
「厭なかたね」


↑おまえら一生やってろ!!
金持ちだとか病気だとか貧乏だとか、文学者3人の生き様の話。私の永遠の千円札の人、漱石せんせいです。だいたい主な夏目モノは制覇したかな・・・と思って今までこの比較的マイナーな存在の野分は軽くスルーしてたんですが、読んだらやっぱり好きでした。「こころ」とかにくらべたらずいぶん読みにくい文体ですけど。
あー、ほんとにたまらんよ、一人坊っちの高柳君に道也先生が。どうにかしてくれー。夏目の登場人物で好きな人はたくさんいますけど高柳君と道也先生はかなり高いとこにランクインする。高柳君なんて人物を生み出せるだけでもやっぱり夏目は最高だと思います。「ちょっと世を拗ねてる人」書くのすごいうまいよな…。
特に高柳君と道也先生が雨のなか散歩するところがもうちょっとありえないくらいアレなので悶え死にました。肺病の高柳君をうしろからストーキングしたいくらいです。高柳!高柳!(うるさい)
あーでも学問と金についてなどつらつらと書いたり演説したりしていらっしゃるのでそこんとこはわたしのわるいあたまにはむつかしかったです。読み直さなきゃわからん。でもとにかく悶えたー。「理会」「悲酸」とか当て字も好きよー。私が当て字やったらただ頭が悪いと思われるけど…



『蜘蛛女のキス』マヌエル・プイグ

ああ、マルタ、なんて幸せなんだろう、君が行ってしまわないように、おれは何もかも残らず話すよ、君がずっといてくれるように、特に今、この瞬間に、最高の瞬間だ、今だ、そう、動かずに、黙ってるほうがいい、今だ、今、後で、しばらくしたら、また話すよ、

アルゼンチンの作家さんです。
す、すごー。いやほんとにすごいです。読み返しまくりです。なにがすごいって、この話、会話文と独言と注釈と報告書と呪いのことばみたいなのだけでできてるんです。普通の、状況を説明するような文章がひとつもないんです。なにがなくとも南米の強い光と熱で押しとおしてる感じです。そして絶妙な会話文には心酔。
私は映画を先に見ちゃったし文庫本の裏にも内容がばっちり書いてあったからもう設定も知ってたんですが、知らないほうがおもしろいのかもなぁ。知らなかったら「え、このひとひょっとして」「まさか」みたいにこの驚愕の設定がだんだんわかっていく、という洒落た作りになってたと思う。
あー、いろいろ衝撃的でした。置いてる本屋さんすくないですけど、すごいおすすめです。ほんと、途中のところ怖いから!何が怖いって、何も怖いことなんて起きないけど、もう、説明できん!とにかく読んで!さいごとか、すごいから!す、好きだ!!



『ツタンカーメン』山岸涼子(全3巻)

ツタンカーメン発掘の歴史漫画です。でも、なにより年の差萌えの話だった。いやー、もう、ハワード(考古学者38歳)がかっこよくてかっこよくて、イーヴ(伯爵令嬢18歳)がかわいくてかわいくて、死ぬかと。このふたり最高だよ・・・。もうふたりで駆け落ちしてエジプトでずっと暮らせばいいじゃん!とか思ってたんですけど一応歴史漫画なのでそう都合よくロマンチックにも行かず・・・ううーん。エジプト文化も当時の発掘事情も詳しくていろいろおもしろかったですけど、なんか期待しすぎて、というかひとりでハワードとイーヴに盛り上がりすぎて、最後のほうはがっくりしました。最後に一気にいろんなこと詰め込みすぎてゴチャゴチャしてた気も。まあ史実なのでしょうがないんですが。カーとか、もっと、出してくれよ・・・
いやー、それにしても厩戸といいカーといい、この人の書く色っぽい少年はどうしてこうも魅力的なんでしょうか・・・ミロノフ先生とかも好きだけどさ!



『のはらのはらの』雁 須磨子

「誰かを好きになる 自分が この俺が いやこの俺なんてたいそうなもんでもないけど きゅんとする ああ なりふりかまわず 身も世もないほど。」

漫画ですけど。しかも普通にホモでございますけど何か。うん・・・なんか薦められてよく知らずに買ったらそうだったんだよ(言い訳)。確かに置いてある場所がなんか変だとは思ったのよ・・・。まあ、別にそれはいいとして。ぜんぜん濃くはないですよ(←何が)。むしろ、というか、すごいおもしろかったです。恋する西戸崎くんの脳内暴走がすごいステキです。あと、なんというか、ひらがな使いの口語の日本語の名手で、セリフがいちいちいい。何気ない言葉が沁みます。音読とかしたい気分です。それからアレなシーンを「うわ」のひとことで済ませたのには、感服。

今後読みたい本
長塚節「土」(高村薫推薦)、武田百合子「日々雑記」、ガルシアマルケス「百年の孤独」、
マヌエル・プイグ「ブエノスアイレス事件」、ドストエフスキー「未成年」
>>読書感想第1頁。
『細雪』『ティモレオン』『悪霊』『マリア様がみてる2 黄薔薇革命』
『きけ わだつみのこえ』『地下室の手記』『マルコ福音書』『マリア様がみてる』
『人間嫌い』『ことばの食卓』『花物語』『蒲団』『水いらず』『リヴァイアサン』
『魔術はささやく』『花嫁化蝶』『カラマーゾフの兄弟』『智恵子抄』『罪と罰』
『ルドルフとゆくねこくるねこ』『江戸川乱歩傑作選』『いい人になる方法』『朗読者』

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